其の人は
   異なる次元の自分自身だというのに
   まるで自分とは違うと確信している。
   気高く 麗しく
   似た容貌であるのに
   纏う雰囲気は真逆でさえあった。
   それは端整な顔に走る
   傷によるものだけではないだろう。
   佇む姿 戦う姿は
   匂うように美しい、とさえ思う。

   究極のナルシシズムなのか
   完全なる別個として捉えているのか。
   それは自分にも分からない。
   でもそれは
   きっと
   些末なことだ。

   組んだ脚に縋り付き
   静かに目を閉じる。
   貴方が名を呼ぶ、
   自分の名を呼ぶ、

   ライドウと。

   異なる世界の自分に慕情を抱く
   己の愚かさを内心で嗤い
   見上げた先には
   刀の切先のような貴方の視線。
   射抜かれ
   また濡れる。

   願わくば
   自分を踏みつけ
   侮辱し
   唾を吐きかけ
   冷たい床の上に蹴倒して

   この息の根を止めて欲しい。

   想い届かぬ存在なので
   情を抱くことさえ滑稽なので
   この哀れな現実に耐えるより
   貴方の手の中にある
   その刀を振り上げ殺して欲しい。

      『はや君の刀を上げ殺せかし。』