夏の日差しがきつく照りつけている。空に雲は一欠けらも浮かんでいなくて、その光を遮るものは何もない。
空条宅の広い庭を眺めながら、承太郎と花京院は縁側に腰を落ち着けてかき氷をつついていた。
軒先に吊るされた風鈴が微かな風に揺れて涼やかな音を零し、同時に鹿威しがカコン、と音を立てる。

「ねぇ、承太郎。一口、君のをくれないかい。その代わりに、僕のもあげるからさ。」

花京院が隣の承太郎ににっこりと笑いかけ、彼の手の中にある宇治金時のかき氷を指差す。
承太郎はちらりと花京院のいちごのかき氷に目をやってから、自分のを一口すくって口に運ぶ。
人のものはより美味しそう見えるものだ、花京院も暫く眺めていた承太郎が食べている宇治金時のかき氷が食べたくなったのだろう。

「……ん。」

スプーンを口に含んだまま、小豆がところどころに転がった緑のかき氷が無愛想に差し出される。甘すぎない宇治金時は、承太郎好みのものだった。
花京院は嬉しそうに笑いながらスプーンをつきさし、一口分取って口に運ぶ。
しゃり、という音が涼やかで、蒸し暑さをほんの少しだけ和らげてくれた気がした。

「ありがとう。はい、君もどうぞ。」

同じようにして花京院もピンク色に染まったかき氷をにっこり笑って差し出すと、承太郎はスプーンいっぱいに氷を取っていく。

「それ、取りすぎだよ承太郎!」

声を立てて笑いながら花京院が言うと、承太郎はぶすっとして

「勝手に乗ってきたんだ。」

と言う。
言い訳なのか事実なのかは分からないが、どっちでも良い事だな――花京院はそう思って、口の中の冷たい感触を楽しむ。
やはり夏は、こういった冷たいものが非常に美味しく感じられるものだ。舌の上で氷を転がしながら、花京院はピンク色に染まった器を見下ろす。

「ね、承太郎。君の舌、緑色なんじゃない?」
「……。」
「ちょっと見せてよ。」

にこにこと笑って言う花京院に、他意はあるのかないのか。
承太郎はやや躊躇いつつも、ちろりと舌を出す。

「あ、やっぱり。
 ふふ、じゃあ僕もピンク色になってるかな。」

緑に染まった舌に目を留めて言いながら、花京院が承太郎に顔を近づける。

「――おい。」
「無粋だなぁ、承太郎。」

慌てて舌をしまい、少しだけ身を引いた承太郎に花京院が唇を尖らせる。
だがすぐににっこりと笑い、承太郎の冷たい唇にそっと口付けた。

「……っ」

触れ合った唇だけでなく絡めた舌も冷たくて、二人は半ば夢中で口付けを交わす。
吐息と一緒に苺の甘さと抹茶の程よい苦味が溶け合って混じる。
触れている部分は次第に熱くなってきて、お互いの息も上がった。
ようやく離れた時にはかき氷で得た涼感はどこへやら、汗ばんだ肌が気持ち悪くて、承太郎は小さく顔を歪めた。

「ひどいなぁ、承太郎。そこはもっとこう…恥らって顔を赤くするとか。ないの?」
「うるせーぞ。寝言は寝て言え。」

大きく溜息をつき、半ば以上溶けてしまったかき氷を口に運ぶ。
あっさりと火照ってしまった体には冷たすぎるくらいで、一瞬頭が痛くなる。

「ねぇ、僕の舌は何色だった?」
「……分かるわけねーだろ。」
「ふふっ。じゃあ食べ終わったら、もう一回。」
「……。」

人差し指を立てて悪びれもせず笑う花京院に、承太郎はまた溜息をひとつ落とす。
小さく苦笑して、ピンク色のかき氷をすくって口に運んだ。



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花承に果敢に挑戦、華麗に玉砕。←
花京院が変態ですみませんorz