一定の音が鳴る。規則正しく。
確実に、前へ、前へ。
進んでいく。

ひどく耳障りな気がして、思わず握り潰した。


白秋


手のひらを広げてみると、傷がみるみる癒えていくところだ。
破片を飲み込んだまま。
痛くも無く、違和感もない。
このまま一つになるのかもしれない、DIOはふとそんなことを思った。

「――何やってんだ、お前。」

聞こえた怪訝そうな声に反応して、顔をあげる。

――穴が空いている。

承太郎は顔をあげた金色の吸血鬼を見て、そんなことを思った。
散らばる破片と歯車は、何の欠片だろう?

「…何やってんだ。」

穴が開いたままの吸血鬼に、承太郎は再度尋ねた。

「さあな、私にもよく分からん。」

DIOは首を傾げながら、手のひらを見る。
いつも騒がしいDIOがひどく静かで、承太郎は少しだけ、気味が悪いな、と思った。
傍にしゃがみこむと、破片が埋もれた手のひらがある。
細長い指にも、白い肌にも、やけにカラフルな破片が、出来の悪いパズルのように。

承太郎は動かないDIOを横目に手を伸ばし、その破片を抜き始める。
DIOは何も言わなかった。
抜く度に少しだけ血が流れて、すぐに癒える。
傷など無かったかのように、綺麗に癒えた手のひらを見つめて、
DIOは相変わらず静かなままだった。

――大丈夫か? こいつ…。

承太郎はふと心配になる。

――頭でもおかしくなったんじゃねぇか?
……それは前からか。

どこか遠い目をして、承太郎は帽子をかぶり直す。
心配するだけ無駄だろう。
DIOに常識はあまり通用しない。

何も言わないDIOに痺れを切らし、承太郎は立ち上がろうとした。
と、その腕が掴まれて、引っ張られたかと思うと、唇に感触がある。
目を丸くしていると、

「隙だらけだぞ、承太郎。」

ニヤニヤ笑う、いつも通りのDIOの姿があった。

「そりゃテメーの方だろ。」
「ぬっ!」

どこかで安堵しながら、いつものようにスタープラチナで一発殴っておく。
ほんの少しだけ手加減して。

「痛いぞ、承太郎!」
「自業自得だな。それ、片付けとけよ。」

何故私が!とか色々と喚きだしたDIOを放っておいて、承太郎はやれやれだぜ、と肩をすくめた。
帽子を深く被り直して、部屋へと戻る。
何をしに来たのかは忘れてしまった。
唇に残る感触はいつも通りだ。
なぞりながら、ふと不安になる。

――あいつはあんなに、温度が無かったか?

……散らばっていたものは何だ?

どこからか聞こえてくる、
時計の音。

窓の外を見ると、葉だけの椿が見えた。
脳裡には、
冬化粧の中
首から落ちる
椿の姿。



破片や歯車をつまみあげて、DIOはごみ箱に放り込む。
傷は消えた。
音は消えない。

――そうだ、私は不死なのだ。

……そのはずだ。



巡る針がぴったりと重なる時、
きっと切り落としてしまう。
もうすぐ。


何を?
誰を…?





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安心(!?)の駄文率。
成長しようがないというか………言い訳しながらごきげんよう!
DIO様復活話はどうしても落とすべきところに
落としておかないといけないので(自分の中で)、
何年ぶりかですがしつこく更新です。
穴が「あいた」のそれぞれの漢字はわざとだったりします。
盛り上がった時に書いたので、メメタァな出来ですが…
読んで下さってありがとうございます。