承太郎の部屋に、夜半に窓を破っての来客があった。 安眠を妨害されて機嫌が急降下したものの、窓を破って侵入した人物を見て、承太郎はすぐさま戦闘体勢に入った。 そこにはエジプトで討ったはずの宿敵、DIOが堂々と佇んでいたからだ。 「てめぇ…DIO!」 「久しいな、承太郎。 おっと、そう警戒するな。私はお前と戦う気は無い。」 土足で部屋に踏み込み、寝起きの承太郎に不躾な視線を寄越す。 その視線にますます機嫌を悪くさせながら、承太郎はスタンドを現す。 いつでも殴りかかれるようにしながら、警戒しつつ口を開いた。 「どの口がそんなこと言いやがるんだ。信じられるわけがないだろう。 …それに、何でこんなところにてめぇが…。」 「ふむ。 実はな、承太郎。 今は、「生命科学」という分野が、このDIOが生まれた時代とは比べ物にならんくらい進歩しているのだな。 そのお陰で、こうして私はここにいるわけだ。」 「…どういう意味だ?」 承太郎の警戒などどこ吹く風で、DIOが腕を組み窓辺に佇む。 相変わらず、その視線は承太郎だけに向いている。 壊れた窓の破片に、僅かな月明かりが反射して輝いた。 「承太郎、お前、ジョセフ・ジョースターに私の血を入れたろう。」 突如出てきた祖父の名に、僅かに動揺する。 この吸血鬼、祖父に何かしたのでは。 「まさか、ジジイを…!」 「待て、早まるな。 人の話はちゃんと最後まで聞け。 私はジョセフ・ジョースターには何もしていない。」 承太郎が血気に逸るかのように一歩踏み込む。 しかしそれを、DIOは冷静に制した。 何もしていないというその言葉に、承太郎は眉を顰める。 到底信じられる言葉ではなかった。 だがDIOは、あくまで冷静な態度を崩さない。 そして、承太郎に敵意さえ感じさせない。 「何ならあとで連絡を取ってみることだな。 私が言っていることが正しいと分かる。 さて、その輸血という行為は当然、医者が施したわけだが。 医者というのも、ある意味で科学者だ。 そして科学者というのは、えてして好奇心が強いものだ。 このDIOに、というよりは吸血鬼という存在に興味がわいたのだろうな。 余った少々の血液を使って、色々と実験をしてみたわけだ。」 流れるようなその説明に、承太郎は軽い頭痛を覚えた。 胸中では、なんて余計なことを、という言葉が渦巻いている。 はっきりいって、一欠けらも世界のためにならない。 むしろ害悪だ。 「……それで、甦ったとでも?」 「簡潔に言えばそうなる。 現代科学は素晴らしいな。臓器や神経系まで再生できるとは。」 にやりと笑うその顔は、この上なく満足そうだ。 更なる頭痛を覚える。 「………甦ったにしても、死ぬ前の人格と記憶が残ってるってのはおかしくねぇか?」 「そこは私も疑問だったのが、今のところ明確な理由はつけられん。 遺伝子とやらに残っていたのかもな?」 「…非科学的なこと言いやがって。 吸血鬼様さまってやつか…。」 嘆息しながら、考えられる最もそれらしい理由をこじつける。 吸血鬼。 まさに、そうだったからとしか考えられない。 異様な治癒能力とか。なんでも首だけで生きていたというし。 承太郎の言葉に、DIOも頷く。 「まぁ、それが一番理由として手っ取り早かろう。 唯一不満なのが、ザ・ワールドが発現しておらんことだが…。」 顎に手を当て、承太郎の背後にうっすらと見えるスタープラチナを見遣る。 スタンドが発現はしていないが、見えてはいるらしい。 だが、スタンドがいないというのは朗報だった。 それは都合が良い、と言う承太郎を見て、DIOが鼻を鳴らす。 その様を見遣り、承太郎は先程から気になっていることを聞いてみた。 「………で、何でわざわざ俺のところに来たんだ?」 「私が来たかったから来たのだ。」 承太郎から視線を外し、物珍しそうに部屋を見回しながら、DIOが言う。 承太郎の眉間の皺が深くなる。 「…何で?」 「理由なぞどうでも良かろう。」 「ちゃんと言え。」 まさか復讐か。 しかしそれならば、もっと違う態度を取る気もする。 先程から、敵意めいたものや憎悪とか、そういった感情は全く見えないのだ。 首を傾げて訝しんでいる間に、DIOは本棚の前に行き背表紙を眺めている。 ちょうど辞書をまとめて置いてある所で、視線が止まった。 「まぁ今は気にするな。」 国語辞典を手に取り、ぱらぱらとめくる。 先程とは打って変わって、DIOはちらりとも承太郎を見ない。 「おい、てめぇ! 勝手に触んな!」 「狭量だな。もう少し余裕を持て。」 辞典に目を落としたまま、ちっちっと指が振られる。 その言葉といい態度といい、つくづく承太郎の癇に障る男だった。 「……野郎。」 苛々しながら、佇むDIOに近づく。 もう少しで射程範囲、というところでDIOが辞書を閉じ、承太郎に視線を寄越す。 そして出し抜けに、とんでもないことを言い出した。 「暫くこの家に滞在するぞ。」 「……何だと?!」 その言葉に瞠目する。 思わず、素で叫んだ。 「このDIOを迎えるのだ、良い部屋を用意しろよ。 ああ、別にお前と同じ部屋でも、私は一向に構わんぞ。」 むしろそうしてくれ。 涼しい顔で、元帝王は言った。 「ふざけろ!この野郎、さっさと出て行け!!」 スタープラチナで、今度こそ殴りかかった。 ------------------------------------------------------- ツッコミどころ満載。冗長な文章ですみませんorz 生命科学どうのこうのとかいう部分は全て適当です。 信じないで下さいorz 吸血鬼というのは、とても手っ取り早(ry |